カーコーティングの「リセット」とは、既存の劣化したコーティング層を除去し、新たにコーティングを施工するための下地処理を指します。一見、ピカピカに見える車体でも、実は表面に目に見えないスケール(水ジミ)や油膜、簡易コーティング剤の蓄積、ワックスの残留が重なり、本来の保護機能や美観を大きく損なっているケースが多々あります。
コーティングは一度施工すれば永久に機能するわけではなく、経年劣化によって撥水性やツヤ、保護効果が次第に低下します。この劣化した状態の上に新しいコーティングを重ねても、密着不良やムラ、早期剥離の原因となり、結果として費用対効果が著しく低下します。そこで重要となるのが、リセットという工程なのです。
リセットを怠ると、以下のような問題が発生します。
- 新しいコーティングの定着が悪くなる
- 洗車しても汚れが残りやすくなる
- ムラやザラつきが目立つ仕上がりになる
- コーティング本来の性能が発揮されない
特に近年は「ながら洗車」や「簡易コーティング剤」など、手軽に施工できる商品が増えている一方で、それらが蓄積されていくことで、表面の状態はより複雑化しています。こうした層をしっかり落とすためには、リセット剤や専用の除去剤による下地処理が不可欠です。
主なリセット手法には以下のような種類があります。
リセット方法 |
特徴 |
使用アイテムの例 |
適用対象 |
脱脂シャンプー洗車 |
軽度な簡易コート除去 |
コーティング除去シャンプー、リセットシャンプー |
軽度な簡易ワックス、リセットwax |
スケール除去剤使用 |
水ジミ・無機汚れの分解除去 |
スケール除去剤、酸性クリーナー |
ガラスコーティング層、鉄粉付着部 |
研磨(ポリッシング) |
物理的に旧層を除去 |
ポリッシャー、専用コンパウンド |
硬化系コーティング層、ムラのある層 |
とくに「キーパーコーティングのリセット」や「ガラスコーティング リセット」を考えている場合、専門店ではポリッシャーと専用クリーナーを用いた下地処理を実施しており、作業時間や料金は内容により変動します。
施工前のリセット処理には、以下のようなメリットがあります。
- コーティングの仕上がりが均一になる
- 耐久性・効果が本来の水準で持続する
- ツヤ感や手触りが向上し、美観が格段に改善される
- 定期メンテナンスのサイクルが長くなり、結果として経済的
車にとっての「リセット」は、美観回復のためだけでなく、今後のコーティング効果を最大限引き出すための必須工程です。施工者がDIYの場合でも、下地処理の有無でその後の満足度が大きく変わることを理解しておくべきです。
リセットが必要なかどうか迷う場合、以下のポイントに注目しましょう。
- 洗車しても水弾きが極端に悪い
- コーティング剤を塗布してもムラになる
- ボディ表面に白くくすんだ膜が残る
- 雨ジミやスケールが洗っても取れない