スモークフィルムの施工は外観を引き締めるだけでなく、日差しを和らげ、プライバシー保護にも貢献します。しかし、ハイマウントストップランプに被さる形でフィルムを貼ってしまうと、視認性が低下し、車検に通らない原因となることがあります。ここで多くのユーザーが犯しがちな誤解が、リアガラスには透過率の法的制限がないからどんなフィルムを貼っても良いという思い込みです。
確かに、フロントガラスやフロントサイドガラスには透過率70%以上という明確な数値基準がありますが、リアガラスは対象外です。しかし、灯火類に関しては別のルールが適用され、たとえリアガラスであっても、ストップランプの光がフィルムによって遮られていると判断されれば車検では不適合となります。
この誤解は一部の施工業者やネット情報によって助長されている部分もあります。たとえば、「薄めのスモークなら問題ない」「ディーラーによって判断が異なる」といった曖昧な表現が多く見られますが、重要なのは最終的に視認性が確保されているかどうかという点です。実際には、可視光線透過率よりも「赤いブレーキランプの点灯が、後方から見てハッキリと確認できるか」が車検基準となるため、判断は検査官に委ねられます。
以下の表は、ハイマウントストップランプとフィルム施工に関する誤解と実際の基準を比較したものです。
誤解されがちな内容 |
実際の基準 |
薄いフィルムならどこに貼っても問題ない |
光の透過により視認性が確保されていないと不合格になる可能性あり |
リアガラスのフィルムは車検に関係ない |
ストップランプの視認性に影響が出る場合は問題となる |
切り抜かなくても問題なかったという口コミが多い |
地域や検査官によって判断が分かれるためリスクがある |
一度通ったから次回も大丈夫 |
フィルムの劣化や光源の変化により状況が変わることもある |
こうした誤解を避けるためにも、施工前に次のポイントを確認することが重要です。
施工前のチェックポイント
1 カーフィルムの施工位置がハイマウント部分にかかっていないかを確認する
2 貼付後、ブレーキを踏んで外から点灯状況を確認する
3 業者に施工を依頼する場合、車検対応であるかどうかを事前に確認する
4 ハイマウント部だけフィルムをカットするオプションがあるか確認する
5 定期的にフィルムの劣化や色あせをチェックする
視認性の確保はドライバー自身だけでなく、他の交通参加者の安全にも直結する問題です。スモークフィルムのデザイン性や遮光性といった機能を重視するだけでなく、法的な基準や車検への影響も含めて施工計画を立てることが、後悔のない愛車メンテナンスにつながります。