カーコーティングに関するユーザーの代表的な不安として、「ポリマーコーティングは洗車機で落ちてしまうのではないか?」という疑問が挙げられます。この問いに対する答えを出すためには、ポリマーコーティングの構造や性質、洗車機の種類、そして実際の検証結果に基づく理解が欠かせません。
まず、ポリマーコーティングの基本構造を確認しましょう。ポリマー系のコーティングは有機化合物を主成分とし、塗装面の上に柔軟性のある薄い被膜を形成します。この被膜は撥水性や光沢を高める効果を持ちながら、塗装面へのダメージを緩和しますが、その一方で物理的な摩擦にはそれほど強くないという性質があります。
ここで問題となるのが「洗車機のブラシによる摩擦」です。ブラシ式の洗車機は、高速回転するナイロンやスポンジ製のブラシによって車体を洗浄しますが、この際に発生する摩擦によってポリマー被膜が剥がれやすくなる可能性があるのです。特に「安価なセルフ洗車機」では、ブラシのメンテナンスが不十分な場合があり、意図せず塗装やコーティングにダメージを与えることがあります。
一方、最新の洗車機はブラシの素材や動作が改良され、塗装への負担が軽減されています。スポンジブラシや高圧ジェット方式などを採用した機種では、比較的ポリマーコーティングへのダメージも少ないとされています。国内カーケア専門誌によって実施された実験では、ポリマーコーティングを施した車両を「ブラシ式」「ノーブラシ式」「手洗い」の3方式で洗車し、コーティングの持続性を比較しました。その結果、手洗いでは3か月以上効果が持続した一方で、ブラシ式では1か月程度で光沢感が低下したという結果が得られています。
このような検証結果を踏まえると、「ポリマーコーティングは洗車機で完全に落ちる」と言い切ることはできないものの、「ブラシ式洗車機を頻繁に使用することで、被膜が著しく劣化する可能性がある」ことは否定できません。
ユーザーがこの現象を回避する方法としては、以下のような対策が挙げられます。
・ノンブラシタイプの洗車機を選ぶ
・週1回以上の洗車は避け、月1回程度にする
・ポリマーの再施工を定期的に行う
・洗車後は簡易スプレー式コーティング剤で補強する
また、洗車機を利用するユーザーが「ガラスコーティングに乗り換えた方が良いか?」と悩むケースもあります。ガラスコーティングはポリマーに比べて被膜が硬く、摩擦にも強いため、洗車機利用を前提とするならば相性は良いといえます。ただし、コストや施工難易度が高いため、使用環境と予算に応じた選択が求められます。